平飼い養鶏って最強なのでは?
素ヱコ農園の松本です。
佐賀県伊万里市で自家配合(自分達で餌を作ること)で平飼い養鶏をやっています。
日本の多くの養鶏場は、自家配合ではなく、メーカーの配合飼料を使用するし、平飼いではなくケージ飼いです。
そういうことをやっていると、「大変そうですね」「わざわざなんでそんな大変なことをやってるんですか?」という声をいただく。
確かに、自分達で餌を作ることや平飼いで鶏を飼育するのは大変です
でも、昔の養鶏場はどこも平飼いだったし、餌も自家配合で人間が食べた後の残りカスみたいなのが餌として有効活用されていました。
現在、フードロスなどが問題視されているが、鶏は人間が食べれないものも食べれたりするから、うまく活用すれば、ごみのだって減らせる。
また、低いと言われている自給率も同時に解消されます。
畜産のやり方を工夫することで、フードロスも低い自給率も一気に解消できるんじゃないかなって思います。
フードロスについて
FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、世界では食料生産量の3分の1に当たる約13億トンの食料が毎年廃棄されています。
日本でも1年間に約612万トン(2017年度推計値)もの食料が捨てられており、これは東京ドーム5杯分とほぼ同じ量。日本人1人当たり、お茶碗1杯分のごはんの量が毎日捨てられている計算になります。
日本での食品ロスの原因は、大きく分けて2つあります。一つは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど小売店での売れ残りや返品、飲食店での食べ残し、売り物にならない規格外品といった事業系食品ロス(328万トン)。
もう一つは、家での料理の作り過ぎによる食べ残しや、買ったのに使わずに捨ててしまうこと、料理を作る時の皮のむき過ぎなどの家庭系食品ロス(284万トン)です。
ちなみに素ヱコ農園では、主に事業系の食品ロス(いりこやくず米やおからや醤油カスなど)を餌として有効活用しています。
腐りやすいものは混ぜて発酵することで、鶏が喜ぶ餌に代わります。
日本の食料自給率の低さ
日本の食料自給率は農水省の発表によると2021年は38%(カロリーベースによる試算)となっています。
この低さ原因の1つは、畜産における餌が原因となっています。
現在、畜産のほとんどの餌は外国産の配合飼料が使用されています。
そのため、国内で育てた畜産物でも、外国産の餌を使用していると食料自給率は下がります。
外国産の餌が使用されるようになったのは、1959年の台風15号の被害にあった時にアメリカから日本にアメリカ型の工業畜産が入ってきたことが期限です。
自給率の二つの考え方。カロリーベースが大切か?生産額ベースが大切か?
自給率はカロリーベースで見る考え方と生産額ベースで見る考え方があります。
自給率は生産額ベースで考える方が良いという主張があるが、私はカロリーベースで考える方が大切だと思います。
なぜなら、農作物は、人が活動するために欠かせないもので、それが自国でどのくらい生産できているかを把握することが本来の意図なのではないでしょうか。
自国でどれだけ国民の食を支えることができるのか?という観点では、商品としての指数を表す生産額ベースより、エネルギーとしての指数であるカロリーベースの方がその本来の意図に合っていると考えます。
昨今、円安やウクライナで外国産の飼料が値上がりし、あらためて外国産飼料に頼りきりの日本の畜産の危うさが浮き彫りになったのではないでしょうか?
地元から集める本来の日本の養鶏法
素ヱコ農園は、外国産の餌に頼らない餌作りをおこなっています。配合飼料だったら、簡単に手に入り、なんの心配もない中で、自分達で餌を集めて、鶏がちゃんと卵を産んでくれる配合を自分達で確立するのは結構大変です。
素ヱコ農園では、1500羽の鶏を飼育しています。
素ヱコ農園の規模で月に5トンぐらいの餌を集めなくていけません。
養鶏を始めた当初は、もちろん何のツテもないので、とにかくgoogleマップで良さげな業者を探して電話をかける日々。
精米所があれば、米糠があるんじゃないかと思い、電話して突撃。
いりこやさんがあれば、いりこや魚粉があるんじゃないかと突撃。
醤油屋さんを見つければ、醤油カスがあるんじゃないかと思い電話して、突撃。
そんなことを繰り返して、今では安定して餌を集めることができるようになった。
ちなみにうちの餌は以下の通りだ。
・米(佐賀県産)
・いりこ(佐賀県産)
・麦(佐賀県産)
・醤油カス(佐賀県産)
・ふすま(佐賀県産)
・米糠(佐賀県産)
・おから(佐賀県産)
・魚粉(佐賀県産)
・スプラウト麦(佐賀県産)
・もち麦(佐賀県産)
・油粕(長崎県産)
・牡蠣殻(広島産)
・野菜・緑餌(佐賀県産)
外国産のものを使用しない餌作り。
ここにはこだわってこれからもやっていく。