「鶏だから、何食べさせてもあまり関係ないでしょ?」
と言われたことがあります。
実際、鶏はなんでも食べるので、少々傷んだものでも食べたりします。
家畜の餌として、人間が食べられないものが餌に使われることが多々あります。
「みんなにとって優しい農園にしたい」ということで、僕らは、人にも鶏にも環境にも良いという観点で餌作りを行っています。
具体的には以下のような餌を与えています。
・米(佐賀県産)
・麦(佐賀県産)
・いりこ(国産)
・米糠(佐賀県産)
・油粕(長崎県産)
・醤油粕(佐賀県産)
・ふすま(佐賀県産)
・オカラ(佐賀県産)
・蠣殻(広島産)
・発酵飼料
・緑餌
・野菜
※抗生物質や薬剤の投与はありません。
今回の記事では、素ヱコ農園では具体的にどんな餌をやっていて、それがどのような効果があるのか?全て包み隠さずに事細かに紹介したいと思います。
そもそも、鶏の餌ってどれくらいなの?
鶏は1日に約100グラムの餌を食べます。
素ヱコ農園では、1500羽の鶏を飼育しています。
そのため、1日に約150キロの餌を消費します。1ヶ月で4.5トンの餌を作ります。
ちなみに、一般的な養鶏場の平均飼育数は7万羽なので、1日に消費する餌の量は7トン。月に210トンの餌を消費するようです。
素ヱコ農園は餌を自分たちで作っているため、調達できる量に限りがあります。
そのため、鶏の数を増やさないという選択をとっています。
餌にこだわらなければ、鶏の量を増やし、卵の数を増やし、規模を拡大することができるのですが、私たちはそれはやりません。
たとえ、量が取れなかったとしても、自分たちがやりたいことは曲げずに貫いていきます。
40%使用!国産の麦について
麦は、カロリー源でもありますが、タンパク質も10%ぐらい含まれていています。また、マグネシウムやカリウム、亜鉛、鉄など豊富なミネラル成分が含まれています。
麦を使用する理由
- 卵を産むエネルギーになるから
- 豊富なミネラル成分が含まれていて鶏の健康が良くなるから
- たんぱく質を多く含むから
- 水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれていて鶏の腸内環境を整えるから
- 地元のフードロスに繋がるから
餌の量の40%は麦を使用しています。
15%使用!国産の玄米について
健康食として知名度の高い玄米。素ヱコ農園でも玄米を鶏に食べさせています。
玄米を使用する理由
- 卵を産むエネルギーになるから
- 血液の素となるビタミンB群が豊富に含まれていて鶏の健康が良くなるから
- 卵に米の風味やコクが出て美味しくなるから
- ビタミンEを豊富に含み抗酸化作用があるから
- 産業廃棄物を餌に転化し、フードロスに少しでも貢献したいから
素ヱコ農園では、全体の餌の量の10%ぐらいに玄米を使用しています。
15%使用!国産のおからについて
地元の豆腐屋さんで豆腐を作るときの副産物であるおからを餌に使用します。おからは腐るのが早いので、米ぬかやふすま、魚粉、いりこと混ぜて発酵させます。
おからを使用する理由
- 貴重なタンパク源だから
- 腸内細菌を整える発酵飼料の素となるから
- 産業廃棄物を餌に転化し、フードロスに少しでも貢献したいから
おからは全体の餌の15%ほど使用します。
5%使用!国産のいりこについて
鶏の体を作ることや卵のタンパク質源として、いりこを使用しています。
また、いりこには、カルシウムが豊富に含まれているので、卵の殻も固くなります。
いりこを使用する理由
- 天然の魚から取れる良質なタンパク源だから
- EPAやDHAなどの必須脂肪酸が含まれていて、卵に機能性が持てる可能性があるから
- 殻が硬くなり、卵の保存性が良くなるから
- 卵にコクができるから
- 産業廃棄物を餌に転化し、フードロスに少しでも貢献したいから
いりこは全体の餌の5%ぐらい使用しています。
5%使用!国産の米ぬかについて
米糠は玄米から白米に精米する過程で出てくる副産物です。
この米糠が玄米の栄養部分と言っても過言ではないぐらい、さまざまな栄養があるのが米糠です
- ビタミンEが豊富で、鶏肉が美味しくなるから
- 食物繊維が豊富で鶏の腸内環境を整えるから
- 発酵飼料の原料としても使えるから
- 卵にコクが出て美味しくなるから
- 産業廃棄物を餌に転化し、フードロスに少しでも貢献したいから
餌の割合の5%ぐらい使用しています。。
5%ぐらい使用!国産の醤油カスについて
醤油カスは醤油を作るときに沈殿する副産物です。
通常産業廃棄物として廃棄されますが、貴重なタンパク質源として、餌に使用しています。
醤油カスを使用する理由
- 20%ぐらいタンパク質を含有しているから
- 塩分も入っており、卵の味が良くなるから
- 醤油っぽい香ばしい香りがあり、卵にコクが出るから
- 産業廃棄物を餌に転化し、フードロスに少しでも貢献したいから
餌の割合の5%ぐらい使用しています。
5%使用!国産のふすま(麦ぬか)について
ふすまとは、麦粒の外皮の部分や胚芽などの表皮の部分を現します。こちらも米糠と似ており、麦を製粉する際に出ます。
ふすまを使用する理由
- ふすまには、ビタミン、ミネラルなど栄養素が豊富に含まれているため、鶏の体調を整えてくれるから
- タンパク質が豊富に含まれているから
- 食物繊維が豊富で、腸内環境を良くするから
- 産業廃棄物を餌に転化し、フードロスに少しでも貢献したいから
全体の5%ぐらい使用します。
5%使用!国産の蠣殻について
蠣殻も餌に混ぜます。
蠣殻を使用する理由
- 卵の殻を固くして、卵の保存性を上げるため
- カルシウムにより生殖器機能を活発化させるため
- ケミカルなものを使用したくないから
5%使用!緑餌について
緑餌(野草や野菜)は鶏にとってすごく大事な餌です。草刈りは重労働の一つですが、毎日のルーティンとして大切にしています。
緑餌を使用する理由
・ビタミンや食物繊維が豊富にあり、鶏の体調を整えるから
・卵の風味が爽やかになるから
全体の5%は緑餌を与えています。
日本初!最強の餌fodder
発芽玄米が栄養価が高いのをあなたはご存知だと思います。
タネが発芽することで栄養価がものすごく上がります。
素ヱコ農園では、麦を発芽させて鶏に与えています。
これを海外ではfodderと言って栄養価の面で最強の餌と言われています。
この発芽麦は、鶏が大好きで、あっという間に無くなります。通常の餌とは別にこれを与えています。
まとめ
以上、素ヱコ農園の餌についてでした。
色々と苦労して、やっとこれだという餌の配合や種類を見つけました。
ここまで包み隠さず事細かに説明している養鶏場はないんじゃないかなと思います。
あなたに安心して食べていただきたいので、全部紹介しました。
ぜひ、素ヱコ農園の卵を食べてみて感想聞かせてください。