卵と食中毒について
近年、卵による食中毒は大幅に減少しています。背景には、養鶏場の衛生管理が行政と連携して年々向上していることが挙げられます。この記事では、養鶏家・素ヱコ農園の松本がサルモネラ菌の基礎知識、汚染経路、家庭でできる対策を網羅的に解説します。
サルモネラとは?
卵由来の食中毒の主因はサルモネラ属菌です。発育可能温度は10 ℃以上、20 ℃を超えると増殖が急加速し、至適温度はヒト体温に近い37 ℃。一方熱には弱く、中心温度70 ℃・1分以上の加熱で死滅します。冷蔵保存で増殖速度を抑え、ヒビ卵は必ず加熱して消費することが安全策です。
感染するとどんな症状が出る?
サルモネラ食中毒の潜伏期間は6〜72時間(平均12〜36時間)。突然の悪寒と38〜40 ℃の高熱に始まり、強い腹痛・吐き気・嘔吐・水様性下痢が続きます。下痢は1日10回以上に達することもあり、大量の水分と電解質が失われるため脱水症状(口渇・目のくぼみ・血圧低下)を引き起こしやすくなります。乳幼児・高齢者・免疫力が低い人では、菌が血流へ乗り敗血症や髄膜炎、骨髄炎、関節炎など重篤な合併症を招く恐れがあります。治療は経口または点滴による補液が中心で、重症例やハイリスク患者には第三世代セファロスポリン系などの抗菌薬を投与します。市販の下痢止めは菌の排出を阻害し症状を悪化させる可能性があるため自己判断での服用は禁物。激しい症状が出た場合や症状が長引く場合は速やかに医療機関を受診し、検便で病原体を確定したうえで適切な治療を受けましょう。
鶏卵の汚染経路 - on egg と in egg -
鶏卵が汚染される経路は次の2種類に分類できます。
- on egg 汚染:鶏の腸内細菌が糞便を介して卵殻表面に付着
- in egg 汚染:感染した鶏の卵巣・卵管から卵内部へ直接取り込まれる
流通前に卵殻は次亜塩素酸ナトリウム150 ppmなどで洗浄・殺菌されるため on egg 汚染はほぼ除去できます。in egg 汚染は養鶏段階でのワクチン接種・衛生管理が鍵です。
卵の賞味期限
卵の賞味期限は「サルモネラがいても生で安全に食べられる期限」として設定されます(1999年 食品衛生法施行規則改定)。一般には採卵後2〜4週間。期限後でも冷蔵保存され品質が良好なら70 ℃で1分以上加熱すれば食べられます。
養鶏場での管理
素ヱコ農園では 佐賀県西部家畜保健衛生所 の指導で月次報告と年次抗体検査を実施。現在まですべて陰性です。平飼い鶏舎は四方開放・通風良好で鶏の死亡率も低く健康的に飼養しています。
減ってきた食中毒?
市販鶏卵のサルモネラ汚染率は0.0027 % と極めて低い(農林水産省調査) ものの、管理不十分な状態での常温放置やヒビ卵の生食は集団食中毒を招く恐れがあります。生食文化を守るためにも、家庭での温度管理と賞味期限の遵守が重要です。
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よくある質問
卵を生で食べられる安全ラインは?
ヒビが入った卵はどうすればいい?
サルモネラ食中毒の主な症状と潜伏期間は?
冷蔵庫のドアポケットに卵を入れても大丈夫?
サルモネラに効く市販薬はありますか?
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