「タンパク質を摂りたい」「ビタミンDが足りない」「サステナブルな食事がしたい」── そのすべてを 1日2個の卵 でほぼ解決できることをご存じですか?

本記事では、平飼い養鶏歴 5 年の素ヱコ農園・松本が、 完全栄養食の定義から卵が最強といえる科学的根拠 10 項目、 平飼い卵で得られる追加メリット、実践レシピまで最新エビデンスで解説します。
1. 完全栄養食とは?
管理栄養士の世界では「人が必要とする必須栄養素をほぼ欠損なく、バランス良く含む単一または複合食品」を指します。
日本人の食事摂取基準 2025 で推奨される タンパク質・必須アミノ酸・13 種のビタミン・14 種のミネラル・必須脂肪酸 を網羅する食品は少なく、卵・牛乳・大豆が代表格とされています【1】。

2. なぜ今、完全栄養食が注目されるのか
- 健康可視化の進展──ウェアラブル機器で栄養欠損を自覚する人が急増
- タイパ&エコ志向──時短調理・食品ロス削減を両立したい生活者ニーズ
- パンデミック後の免疫意識──ビタミン D・セレン検索件数が 2 倍に【2】

3. 卵が完全栄養食である10の科学的理由
メリット | 科学的根拠 |
---|---|
① アミノ酸スコア 100 | PDCAAS 1.0/DIAAS 0.97【3】 |
② ビタミン D 0.9 µg | 不足しがちな脂溶性ビタミンを補給【4】 |
③ コリン 147 mg | 胎児脳発達・肝機能保護に必須【5】 |
④ ルテイン・ゼアキサンチン | AMD リスク 26 % 低減【6】 |
⑤ 良質脂質 | ω-3 脂肪酸が平飼い卵で 1.3〜1.8 倍【7】 |
⑥ HDL コレステロール↑ | 1 日 2 個まで心疾患リスク増なし【8】 |
⑦ 高い消化吸収率 | 加熱後 98 %・MPS 促進【3】 |
⑧ 低い環境負荷 | 20 g たんぱく当り CO₂ 51 g【9】 |
⑨ 調理汎用性 | 生・焼・茹・蒸…で栄養損失が最小 |
⑩ コスパ最強 | 1 食約 30 円で 20 種以上の栄養素 |
4. 平飼い卵で栄養とサステナビリティを最大化


自由運動+日光浴でビタミン D・ω-3 脂肪酸が増え、 抗生物質使用量も 52 % 削減【7】。 糞尿は発酵堆肥化し近隣農家へ循環──健康・動物福祉・環境を同時に高める選択肢です。
5. 1日2個!実践ガイド&レシピ
タイミング別おすすめメニュー
- 朝:半熟ゆで卵+オートミール(MPS 最大化)
- 昼:温泉卵のチキンボウル(血糖コントロール)
- 運動後:卵 2 個のプロテインパンケーキ(ロイシン閾値クリア)
- 就寝前:卵スープ(ゆるやかなアミノ酸供給)
コレステロールが気になる場合は 卵 1 個+青魚 or ナッツ で脂質バランスを調整しましょう。
6. よくある質問
Q1. 卵は何個まで食べても良い?
主要メタ解析【8】では 1 日 2 個まで心疾患リスクに影響なし。運動量が多い方や高齢者は医師と相談のうえ 3 個以上も可。
Q2. 殻の色やサイズで栄養は変わる?
殻色は品種差、サイズは鶏齢差で栄養価に影響しません。
Q3. 平飼い卵は生で食べても安全?
洗卵・冷蔵・トレーサビリティを徹底する農場の卵は生食可能(賞味期限内)。ヒビのある卵は必ず加熱を。
7. 素ヱコ農園とは
佐賀県伊万里市の素ヱコ農園は、NHK World-Japan “Cycle of Waste” で紹介された平飼い専門養鶏場です。

豆腐店の OKARA・醤油粕・いりこ屑など年間 120 t の食品副産物を 乳酸発酵させた自家配合飼料でフードロス削減と高栄養卵を両立しています。

参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」
- Google Trends “vitamin D immunity” worldwide, 2020-2024
- Tome D. Protein quality & MPS. J Nutr, 2011
- Cashman K D. Vitamin D status in Europe. Am J Clin Nutr, 2016
- Caudill M A. Choline in pregnancy. Curr Opin Clin Nutr, 2019
- Stringham J M et al. Lutein & AMD. Clin Ophthalmol, 2021
- Kijlstra A. Outdoor eggs & fatty-acids. Poultry Sci, 2019
- Drouin-Chartier J-P. Egg intake & CVD. BMJ, 2020
- Poore J, Nemecek T. Food environmental impacts. Science, 2018
- Lay D C. Stress indicators in free-range hens. Poultry Sci, 2023