「僕の人生終わったかもしれないな」
素ヱコ農園 代表 松本 啓
桜を見ると、いつも思い出します。
あの時の感情を。

それは2020年4月。
大学生じゃなくなった日でした。
コロナで卒業式も無くなり、何の区切りもないまま、4月1日という日付が来た。
そう、僕は社会人になった。
「衰退していく田舎をなんとかしたい」
「田舎の雰囲気を変えたい」
そんな確かなのか、曖昧なのかわからない、自分の内側から湧き上がってくる感情を頼りに、伊万里に帰ってきた。
「大丈夫なの?」
「一回就職したほうがいい」
両親からも散々言われたし、会う人会う人から忠告を受けた。
それはわかっていた。
プログラミングのスクールに行ったり、デザインの勉強をしたり、狩猟や林業の勉強をしたりしたけど、何もものになっていない。
地方国立大学卒業。
大学で勉強したことはタンパク質について。
どこにでもいる平凡な23歳。
だからこそ、世間の厳しさすらわからなかったのかもしれない。
でも、「ばあちゃんと暮らしたい」という思いは本物だった。
いまやらないと、ばあちゃんも老いていくから。
若い僕が田舎でやることに意味があるのでは?
ばあちゃんがやっている農業は大変で、時給200円ぐらいだった。
年金があるから生きていける農業だった。
僕は何ができるだろうか?
問うた。
何度も何度も。
でも、いくら問うても、何もでてこなかった。
あるのは、何とかしたいという気持ちだけ。
「僕の人生、終わったかもしれないな」
本当に、そう思った。
スマホを見ると、見慣れた顔がスーツを着て、入社式に参加している画像がずらり。
僕は選択を間違えたのかもしれない。
あれから6年が経った。
絶望した場所に、笑顔でご飯を食べている人たちがいた。
スタッフたちと花見をした。
23歳の僕には、いまの様子は想像できなかった。
僕たちの卵が全国に届いている。

その卵で作ったお菓子がANAのアンテナショップに並んでいる。
何も持っていなかったからこそ、いろんな人が助けてくれた。
人のおかげで少しずつ進んできた。
この数年で、現実が少しだけ変わった。
農業という仕事を選んで飛び込んできているスタッフがいる。
うちに関わった人が結婚して、伊万里に住んでいる。
でも、まだまだ途中だ。
これからAIが発展してきたり、人口減少で日本がどんどんと元気がなくなっていく中で、
僕は田舎で暮らすことや農業が見直されると思っている。
コメ作りや農福連携・観光農園など、やりたいことはまだまだある。
「僕の人生終わった」と思っていた。
いや、終わっていない。
これからももっと良い未来を作りたい。
現実は甘くない。
いっぱいいっぱいでやっている。
でも、ぼくはそんな生き方しかできない。
その時その時の自分をぶつけるだけ。
相変わらず、僕は向こう見ずで、思いだけで突っ走っていくかもしれません。
でも、バカしか、かえれないって誰かが言っていた。
ピュアであり続けたいと思う。
いつも、ありがとうございます。
今日は風が強く雨も降っていた。
桜ももう見られないかもしれない。
桜が散っていようと、雨が降っていようと、皆さんに変わらず卵を届けられることに感謝です。
素ヱコ農園
代表 松本 啓
これからも素エコ農園をよろしくお願いします。