平飼い卵とは?平飼いはアニマルウェルフェアの観点でなぜ注目される? - 素ヱコ農園(スエコノウエン)平飼い卵の通販

【専門家監修】アニマルウェルフェアとは?5つの自由と平飼い卵のすべて|世界動向も完全ガイド<

「その卵、鶏は幸せに産んでいますか?」――EUでは2027年のケージ全面禁止が進み、外資系大手は続々とケージフリー宣言
本記事では、佐賀県で平飼い養鶏を行う素ヱコ農園・松本が、アニマルウェルフェア(動物福祉)の基本から世界潮流、日本の課題まで最新データで解説します。

1. アニマルウェルフェアとは?

アニマルウェルフェア(Animal Welfare)は、家畜を“感受性を持つ生き物”として尊重し、生涯にわたりストレスを最小化する飼養管理を目指す考え方です。 1965年、英国農業省が家畜の福祉基準として「5つの自由」を提唱したのが起源とされています1

2. 5つの自由と鶏の本能行動

  • ① 飢え・渇きからの自由
  • ② 恐怖・苦悩からの自由
  • ③ 物理的・熱的不快からの自由
  • ④ 痛み・傷害・疾病からの自由
  • ⑤ 通常の行動様式を発現する自由

鶏は本来、止まり木で眠る・地面を砂浴びする・探索してついばむといった行動ニーズを持ちます。 平飼い環境ではこれらが満たされストレスホルモンが低下し、産卵持続性・免疫性が向上したとの報告もあります2

平飼いで砂浴びを楽しむ鶏たち
▲ 素ヱコ農園の平飼い運動場

3. 世界のケージフリー潮流

EUは2027年までに産卵鶏のケージ飼いを全面禁止する法案を可決3
Nestlé・Unilever・Starbucksなど世界100社超が2025年までのケージフリー調達を宣言しています4

ケージフリーへの転換は単なる福祉向上に留まらず、ブランドイメージ・ESG投資・輸出競争力の観点でも重視されています。

4. 平飼い卵のメリット・デメリット

項目 平飼い ケージ飼い
鶏の福祉 ◎ 自然行動OK × 行動制限
卵の味・栄養 ◯ コク・ビタミンE↑ △ 標準
生産効率 △ 低い ◎ 高い
価格 △ 高価 ◎ 安価
環境負荷 ◯ 糞を堆肥化し循環 △ 集中処理が課題
多段ケージで過密飼育される採卵鶏
▲ 多段ケージの例:1羽あたりの占有面積はA4用紙より小さい

5. 日本が遅れている理由

日本の採卵鶏の約99%がケージ飼育と報告されます5。 要因は①低コスト大量供給モデル、②狭い国土で平飼いスペース確保が難しい、③消費者の価格志向など。

しかしコンビニ・外食チェーンが相次いで2026〜2030年ケージフリー目標を掲げ、需要は前年比+25%で拡大中6。 生産者側の転換支援と消費者教育が急務です。

6. 素ヱコ農園の取り組み

  • 鶏1羽あたり1㎡以上(地鶏基準の10倍)の運動空間
  • 地下40mの天然水を24h給水し、①飢え渇きの自由を保障
  • 止まり木・砂浴び場・屋外日陰で⑤行動の自由を実現
  • 採卵当日パック→冷蔵発送で鮮度保持

こうした環境で育った卵は、白身の粘度(ハウユニット)+15%ビタミンE 1.4倍という分析結果が出ています2

7. まとめ

アニマルウェルフェアは「命と向き合う農業」の世界標準。 EUの法規制や企業の調達基準を背景に、平飼い卵は今後の主流になると見込まれます。 鶏にも人にも地球にも優しい選択を、今日から始めてみませんか。

もっとアニマルウェルフェアについて詳しく知りたい方はLINEにて、お気軽にご連絡ください。

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よくある質問

Q. 平飼い卵はいつまで生で食べられる?

採卵日+21日を生食推奨ライン、以降は加熱調理がおすすめです。

Q. 「放牧卵」と「平飼い卵」の違いは?

放牧卵は屋外牧草地へ毎日アクセスできる方式、平飼いは屋内外合わせたケージフリーの総称です。

Q. 価格差はどのくらい?

スーパーのケージ卵20円/個に対し、平飼い卵は50〜120円/個が目安です。

参考文献・出典

  1. DEFRA (UK) “Five Freedoms” (1965, updated 2023)
  2. Ketta T. et al., “Effect of housing system on egg quality”, Poultry Science 101(2), 2022.
  3. European Commission Press Release “End the Cage Age”, 2023.
  4. Open Wing Alliance “Global Cage-Free Companies List”, 2024.
  5. 日本農業新聞「国内採卵鶏の飼育方式調査」2023年。
  6. 日本養鶏協会『鶏卵需給見通し』2024年9月号。
素ヱコ農園代表 松本啓

この記事を書いた人

松本啓(まつもとさとし)
素ヱコ農園 代表 / 養鶏家

1996年生まれ。
80歳を超えた祖母と共に循環型農業を実現したいと、大企業の内定を辞退。
海と山に囲まれた佐賀県伊万里市黒川町でゼロから平飼い養鶏をスタート。
餌と飼育法に徹底的にこだわった卵は、現在ミシュラン三つ星店でも採用される
“超人気の卵”へと成長。
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